『ブロークバックマウンテン』。
表向きは、ワイオミングで、二人のカウボーイの20年にわたる純愛の話です。
原作訳者によれば、brokebackとは粉骨砕身する、破産する、重荷を負わす、打ち倒す、というような意味になるそうです。
この映画がアメリカで公開されて一種の社会現象をひきおこしてからは、「brokeback」が動詞として独立した意味を持つようになっていて、「brokebackする」=「ボーイズラブする」みたいなジョークとしても使われています。
でも、この映画、ゲイの話というだけじゃなくて、本質的には、男性性の話だと思われます。
まさにLGBTQな話で、男性的な役割を指摘するシーンも多く、現代的な話ですね。
カウボーイ、家長制度(ターキーを切り分ける)、暴力で家族を守る等々、男性の役割が都度都度描かれてます。
そんな男性社会の中でのゲイを描くことにより、より男性性を引き立たせます。
なんか二人が家族そっちのけで、出かけちゃうシーンとか、ゲイとかの話じゃなくて、状況としては、すごい身に覚えがあるわけですよ。
「今晩は、会社の同僚と飲みに行くから」
「今週末は、ゴルフの予定が」
「1週間出張になった」
仕事が好きな人なら、仕事は遊び的な要素を感じてるし、きっと家族もそのことに気づいてると思うんです。「仕事っていうなよ! 遊んでるのと変わらねえだろ」と思われても、実は反論できない人、多いはず(笑)。
というわけで、奥さんとみると、別の意味で気まずくなる映画なのかもしれません。
あとこの映画、役者がすごいですよ。しかもみんなブレイク前。
- キースレジャー
ダークナイトのジョーカーで有名
- ジェイクギレンホール
名作に出まくる名優
- ミシェルウィリアムズ
ブルーバレンタインやマンチェスターバイザシーなど、幸薄い奥さん役やらせたらNo. 1
- アンハサウェイ
説明不要の超美人女優
- リンダカーデリーニ
ホークアイの奥さんだしグリーンブックのヴィゴの奥さんなど、できた奥さんやらせたらNo. 1
これらの俳優陣は、ほぼブレイクする前にキャスティングするアン・リー監督のすごさ。