この映画。何度見ても笑います。声出して。
一般的には負け組たちの話ですが、やはりこの手の映画を見ると「人生金だけじゃない」と思わせてくれる痛快な一本です。
「昔に比べれば金は入るし、ちょっとは幸せそうにみえるのさ♪」と忌野清志郎が歌ってるように、昔よりは多少のお金はもらえるようなりました。誰もが小綺麗になり、ビールとかウイスキーを飲む人やタバコを吸う人も減りました。車だってピカピカです。高級腕時計もします。でもそんな大人になりたかったかといえば、別にそんなこともないんですよ。
ロックTシャツをずっと着てたいと思ってたはずですよ、学生の頃は。ズボンなんか毎日同じジーパンを履いてました。食事はスライスピザとビールがあれば満足していたはずです。
マイルドな時代になったと思いますが、そう思って今が物足りない人にはこの『ビッグ・リボウスキ』は、ズバッと刺さるんじゃないかと思うんです。
金なくても楽しそうにして、ボウリングに興じる主人公たち。結構なトラブルに見舞われてるのに、ボウリングだけは欠かさない。心に余裕があります。
人殺しを見た直後だってあいつらなら、「じゃあ、ボウリング行こうか」ってなると思います。
一方、この作品の金持ち野郎の心は余裕がない。余裕ぶってるのは最初だけで、終始イライラしている。
果たして人生の勝ち組とはどちらなのか?
タイトルの『ビッグリボウスキ』。主人公デュードことリボウスキが同名のリボウスキに間違えられることから物語は始まります。そのリボウスキは超金持ち。だからビッグリボウスキ。
でもね、果たしてどっちが本当のビッグリボウスキなのか? 俺はデュードだと思うわけですよ。
ガウンにグラサン、サンダル、短パンという姿でスーパー行ったり、首がダルダルのTシャツ着たり、それで誇りを持つことができていれば、男としてあれ以上の物を望むこともないでしょう。そしていつも片手にはホワイトライアン(ウォッカとコーヒー・リキュールと生クリームのカクテル)を入れたグラスを持ち、毎日を楽しんでいます。
あの余裕感。
主役のデュードは比較的まともな思考で行動しますが、友達のジョングッドマン演じるウォルターのキレ具合はハンバないです。
友達にしたくない迷惑なトラブルメーカーリストのベスト3入りしました。
グッドフェローズのジョーペシ。
トレインスポッティングのベグビー。
彼らに並びます。マジで。
最後のブシェミ散骨シーンは爆笑です。
また別の側面から見ると、この映画は探偵映画でもあり、ロバートアルトマンの『ロング・グッドバイ』やポールトーマスアンダーソンの『インヒヤレントヴァイス』と同じ系譜の物語でもあります。
しょぼくれた時代遅れの中年男の探偵(デュードは探偵じゃないけどみたいなことしますから)が、誰かを探す話です。
松田優作がこの映画にインスパイアされ、TVでは『探偵物語』、映画では『ヨコハマBJブルース』を生み出したことでも有名ですね。
私も、あんなしょぼくれた中年探偵になってみたかったですよ。憧れない男いるんですかね? 組織の歯車として生き続けている自分になんとも、グッとくる物語なんですよ。いずれの映画も。その中でも一番笑えるのが、今回紹介している『ビッグ・リボウスキ』です。本当にお勧めですよ。
例によって、画像出し方わからないです。
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