行ってきました。
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』。ガンダムとの付き合いは30年以上。ちょっとした友人より長い付き合いです。
この映画の企画や聞いたとき、
「何を今さら。しかもそのエピソードキワモノ扱いされてるやつだよな。内容覚えてないし」という感想でした。
コミックスの『ガンダムオリジン』は良かったし、安彦良和の漫画家として、またキャラクターデザイナーとしての才能はすごいし、アニメ監督としても『クラッシャージョー』や『巨神ゴーグ』などの実績も知っています。
でも、今さらな。って感じは否めません。
じゃあなぜ、見に行ったかというと「まあネタになるか」と意地悪な気持ちもあったのですが、評判が入ってくるたびに、割と高評価なんですよ。
映画評論家の宇多丸も安彦監督にインタビューした時に、作品を誉めてました。しかしそれでも「そりゃ巨匠の前で作品を書き下ろすわけにもいくまい。まあおべっかに近いんだろうな」と思ってました。
そして実際見てみると…
ちょっと泣いた。
良い話なんですよ。子供たちと脱走兵の心温まる話をベースに、戦争の残酷な一面もけっこうエグめに描いてます。
印象的だったのはアムロ。今までのどのアムロより兵士の狂気を表現してます。
兵士と民間人、大人と子供、まだ兵士としても人間としても半人前のアムロですが、パイロットの腕だけはエース級です。
アムロは少年ならではのコミュニケーション下手な部分が残っていて島の子供たちとどう接して良いのか戸惑います。次第に心が通ってきいますが、戦争がその穏やかな時間を許しません。
アムロが敵兵を見つけたときに、ある残酷な行動でその敵兵を殺害します。その行動の意味するところは、未熟とはいえアムロは既に兵士なんだな、ということだと思います。
その敵兵の兵士はモビルスーツにのっているわけではありません。アムロは自分の兵士としての役割を果たしたのです。
一方この映画の実質的な主人公のククルス・ドアン。彼は「赤い彗星のシャア」と並び称されるほどの超大物です。
そんなドアンですが、子供たちを守るためにそしてある秘密を知り、脱走兵となります。身にふる火の粉をはらうために愛機のザクに乗り戦闘をするものの、子供たちとの穏やかな生活を大切にしています。
このドアンとアムロの対比がとても素晴らしいんです。
兵士になりつつアムロ。
兵士をやめていくドアン。
囲む島の子供たちと戦争が、二人のコントラストをより強くし、対照的な存在にしていきます。
その対比を思うと、エンドクレジットに流れるイラストに、なんか泣けてきちゃうんですよ。あのエンドクレジットのシーンの一方、アムロは戦場へおもむいて行くんだな、と。
ククルス・ドアンの島。
キワモノ扱いしてる人、ガンダム好きなら行った方が良いですよ。
もちろん劇場の大画面で見る、モビルスーツ同士の戦闘シーンはハイクオリティでかっこいいし、お馴染みの曲が流れると、すっごいアガります。
今回言いたいことは、このくらいです。