『クリード過去の逆襲』見ましたよ。
ロッキーサーガの最新作です。しかしロッキーは不在。ロッキーが出ないことは事前情報として聞いていた。それは良い。クリードシリーズはクリードの物語で、前二作でロッキーからのバトンも渡ったわけだから、ロッキーが退場する必然性はあると思う。
しかしだ。そうしかしなのです。
『クリードⅢ』を見るまで、どんな感じでロッキーが退場するのかを想像していた。それが『クリードⅢ』を見る一番のモチベーションであると言っても過言ではない。俺はね、アドニスよりロッキーの方が好きなんですよ。アドニスも好きだけどさ。
なぜ、ロッキーが出ないのか?
俺予想1 ロッキーの死
これが一番自然だろう。かつてエイドリアンやポーリーは、シリーズの作品と作品の間で死んだことになって、物語から退場していったのだ。ロッキーだって、その対象であっても不思議ではない。しかもロッキーは癌で死にかけているのだ。俺的には一番自然な流れだ。
俺予想2 ロッキーはカナダで子供家族と幸せに暮らしてる
これでも良いだろう。前作でロッキーは息子との確執を超えて息子に会いに行ったのだ(『ロッキーザファイナル』で、息子との確執は無くなったはずだが、あの後もなんだかんだうまくいかなかったのだろう)。
俺予想3 トレーナー業引退しエイドリアンズに専念
アドニスもチャンピオンになり安心したロッキー。病気もあるのでトレーナー業を引退して余生を送っている。なんならウクライナから避難してきたドラゴ親子を働かせてたりしても良い。
俺予想4 ロッキー無言のフェードアウト
特に言及もせず、ただロッキーのことに触れない。続編作品ではよくあるパターンでその度にガッカリというか「あのキャラどうなったんだよ?」とモヤるケースです。
いざウォッチ!
そして見てみるとですね、なんと俺予想の4という結果に。ロッキー消息不明なわけですよ。観客の俺たちからすれば。
いや、知ってますよ。『ロッキー』の権利を巡り、スライとプロデューサーのアーウィン・ウィンクラーと対立してるとか。どっちの言い分が正しいかまではわからないけど。でもそれは映画のストーリーとは別の話でしょう。ストーリーとしては何かしらの説明があって然るべきです。
だってそうでしょう。
散々ロッキーに世話になったアドニスだけど、世界チャンピオンになり軌道に乗ったら、ロッキーとのコンビを解消してるわけですからね。アドニス、冷たすぎ。そのつもりはなくても、事実だけ見ればそういう受け取り方もありますよ。ロッキーについては無名のボクサーを世界タイトルに挑戦させる際の詭弁として「アポロvsロッキーのように客を呼べる」というアドニスの守銭奴発言があったきりなんです。アドニスの義理母メアリーアンの葬式にもロッキーの陰も形もない。アドニスはロッキーとの縁を完全に切ってますよ。アドニスの豪邸にも、ロッキーの写真は一枚もないんです。エイドリアンズにドラゴの写真がなかったように。さらに言うとラスト兄貴分との戦い後「俺の教えを超えたな」って言われるんだけど、俺たちからすれば「いや、お前の教えよりアドニスはロッキーの教えだから。フットワークだってパワーだってロッキーから教わってんだよ」って感じなんですよ。
今回の「過去の逆襲」は、黒人カルチャー映画という性格が強く、ロッキーが雑音になりかねないのもわかりますよ。ロッキーが出れば、俺たちはロッキーの出番を期待するわけで。
だから、せめてちょっとでも、例えばメアリーアンが死んだ時に「カナダのロッキーから電話があった」とか何かひとことだけでも、なぜロッキーがアドニスの側にいないのかのフォローが欲しいわけですよ。
そういう意味では切ない映画でした。そこを省けば、まあまあ面白い映画ですよね。