カモメのつぶやき

好きな映画や本のことを書きます。あとアメリカに留学してたこともあるので、留学や英語にいつても書くことがあります。

コロナ禍に見るべき映画ロッキー【前編】その魅力は底辺の人たちの希望に満ちた最高の映画です。

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 皆さん、映画『ロッキー』好きですか? 興味のない人は、今回このコラムはお呼びじゃないと思われます。

 でももし少しでも「ちょっと気にはなってるんだよね、ロッキー」という方がいるなら、もしかすると、このコラム役に立つかもしれません。

 ロッキーに偏見ないですか? マッチョな男がなんの悩みもなくマッチョにボクシングしてるだけと思ってないですか? 

 違うんです。ロッキーは人間の内面を描いた人間ドラマが詰まった大傑作なんです。コロナ禍に鬱屈した気分っていうのが、ロッキーの舞台であるフィラデルフィア(かつて繁栄したけど時代に取り残された都市)に住む人たちの気分に似てると思うんです。停滞してる感というか出口のない日々のストレスみたいな感じ。

 ロッキーとはどんな映画かを改めて私なりに紹介します。

 ひとことでいうと、最高のボクシング映画であり、最高の恋愛映画であり、最高の負け犬たちのワンスアゲイン映画であり、最高のオシャレ映画であります。

 まずボクシング映画であることは分かると思います。ボクシング映画=ロッキー。この印象はロッキー見たことないけど、映画ファンならなんとなく知ってると思います。

 大雑把に言うと、かつてキラリと光る才能はあったけど今はパッとしない三流ボクサーのロッキー。一方伝説の世界チャンピオンのアポロは、ビジネス的に旨みのある話題性を重視したマッチマイクを企画しています。そこで白羽の矢に立ったのがロッキー。アメリカンドリームを与えてやろう、というアポロのプロデュース企画がこの映画のストーリーです。

 ロッキーという映画に深みを与えているのが、恋愛パートです。恋愛は負け犬たちのワンスアゲインモノにつながっています。ロッキーや彼の周りにいる人たちはフィラデルフィアというかつて栄えていたけど今は経済成長が止まってしまった都市に暮らす貧乏な白人たちです。

 今で言う腐女子エイドリアン。ペットショップで働いています。そのエイドリアンに冴えないボクサーロッキーがアプローチしますが、そのアプローチもぜんぜんイケてないんですよ。もうね、くだらないジョークなんか言ったりするんですが、まったくエイドリアンにウケてない。クスリともしないんです。にっちもさっちもいかない感じがすごい。ちなみにエイドリアンもイケてないんです。二人は結局恋人同士になりますが、イケてない二人が付き合うことによって、イケないカップルが一組できただけなんです。

 でもそのイケてないカップルを見ると、「あいつらは俺だ!」って思えるわけですよ。金はない、学歴もない、立派な仕事もない。彼彼女らには何もないんです。今のこの不景気な日本の状況にちょっと似てるんですよ。

 あとエイドリアンにはポーリーというなんの取り柄のない兄がいます。唯一のロッキーの友達でもあるんです。ロッキーは借金取りの仕事をしてますが、ポーリーもその仕事をしたくてしょうがないんです。ロッキーに借金取りの仕事を紹介してくれって頼むけど、ロッキーはヤクザな仕事を紹介することに消極的なんです。ポーリーの人生は全くうまくいってないんですよね。たぶん彼女だっていません。ロッキーとエイドリアンが付き合いだすと、ポーリーはなんだか面白くなさそうです。ポーリーよりちょっと、上手くいってる二人に嫉妬するわけです。ロッキーとエイドリアンにグチグチ文句を言うんです。そんなポーリーにうんざりするエイドリアン。ロッキーは二人の間に立とうとするけどポーリーはロッカーにも文句を言いまくる。

 この底辺で生きる人たちの微妙な心の動きが、ロッキーという映画の素晴らしさなんです。

 ロッキーにはもう一人欠かすことのできないキャラクターがいます。それは後半で。

 

後編はこちら

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