カモメのつぶやき

好きな映画や本のことを書きます。あとアメリカに留学してたこともあるので、留学や英語にいつても書くことがあります。

たぶん『コーダ あいのうた』が今年ベストという話

 アカデミー作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』。アカデミー賞=ベストになることもあったりなかったりですが、たぶん『コーダ』は今年のベストになる予感がしてます。

 見たのは一月だし、アカデミー賞も終わってしばらく経つし、何をこんなハンパな時期にそんなことを言い出すのか?って話ですが。誕生日なんで、なんとなくそう思ったんです(予約しますので投稿日が誕生日じゃないですが)。

 コーダを語るほど、私は障害について知らないし、アメリカの漁師たちの労働環境にも詳しくありません。

 それでも普遍的な感動がこの映画にはありました。家族についての物語でもあるからでしょうし、青春の話だからだと思います。

 

 うろ覚えですが、映画評もする宇多丸氏は「青春とは可能性が開かれている状態」と定義付けています。

 『コーダ』の主人公はまさにその状態なんです。聾唖の家族との間に発生する障壁がありながらも、歌うことで彼女の人生の可能性はどんどん拡大していきます。

 その可能性の拡大の見せ方が、映画の構成として超絶上手いんです。

 漁を手伝いながら、ひとり歌う主人公。

 耳の聞こえない両親が、主人公のコンサートに行き、彼女の歌ってる様を見るシーン。

 コンサートの後に父親ひとりに歌う主人公。

 音楽大学への実技試験。やはり耳の聞こえない家族の前で歌う主人公が、彼女しか歌えない歌い方をするあのシーンは、映画音楽史に残ると思います。マジで大げさでも何でもなく。

 映画館では、それまで鼻をすする音がときとぎしてましたが、嗚咽する音も聞こえたほどです。

 最も嗚咽してたのは、たぶん私と私の隣にいた見知らぬおじさん。中年男二人の琴線に思いっきり触れてました(ちなみにその日、私は『さがす。』を別劇場で見たんですが、そのおじさんもその別劇場にいました。今思えば友達になれたかもしれません)。

 映画館であれほど泣いた作品って他にないです。号泣映画ナンバーワンの地位を獲得してるので、そりゃあ今年ナンバーワンほぼ確定だよな、って話でした。

 

 さらにクライマックスの試験後の後日談でもクソほどないたんですが、引っ越し先は実家から車で1〜2時間のけっこう近場と聞いて少し「あれ?」って感じではありました。