パラサイト。
コロナ禍で気分がダウン気味なとき、こういう映画を見ると、さらに気分が暗くなるダウナー系の映画ですが、所々コメディ要素がある、落ち込んで良いのか笑って良いのかよくわからない映画です。
面白いです。万引き家族と比較されるのは納得。
この映画が公開された時期、さまざな先進国で格差社会を描く映画がヒットしてます。
どの映画もインパクトあります。すごいことですよ。先進国で、食べることや住むところに困ってる人がたくさんいるという事実を描いています。
この物語ははなから失敗を示唆しています。
息子の「多くの金を貯める」計画。お父さんが言った「計画は失敗する」のロジックからすると希望はなく絶望で終わる物語だと思われます。
そして社長。
悪いことしてないのにムカつく奴ですね。金持ち「なのに」ではなく、金持ち「だから」嫌な奴っていう(笑)。
においに関する演出が絶妙です。社長は表立ってお父さんに「あなた臭い」とは言わないし、プロの職業人としての敬意も払ってます。
でも明らかに臭い(=貧乏人の匂い)と思ってて、それが徐々に態度に出ます。まあ、そういうことありますよね。現実社会でも、匂いって容赦なく、そういう要素があることは、皆さんも経験的に理解できるのではないでしょうか。わかります。わかりますが、でもそこがムカつくんです。うまい演出です。
その社長の奥さんも社長も、英語を口にする感じも、「上流階級の奴ら」って感じが笑えます。現代の日本において、よくわからんカタカナのビジネス用語使う連中に一脈通じるというか、その嫌みは、あいつらのそれそのものです。
韓国、日本、イギリス、アメリカ。それぞれ抱えた格差社会問題を、エンタメに昇華しているその文化度の高さは大したものですが、しかし今後どうなるんですかね、我々の社会は。
そういう憂いを持って見ると、より一層深みを感じられる作品群だと思います。