カモメのつぶやき

好きな映画や本のことを書きます。あとアメリカに留学してたこともあるので、留学や英語にいつても書くことがあります。

メリル・ストリープの演技はまさにジョジョでいうところの黄金の精神『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

 これは勇気について描かれた映画だと思います。ある中年女性が勇気を振り絞る物語です。

 

 メリル・ストリープが超絶良い。

 物語も同等に良い。

 さすがスピルバーグ。『レディ・プレイヤー・ワン』とほぼ同時期に作っちゃうなんて、やっぱりスピルバーグって超大天才だと思う。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、ベトナム戦争を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の内容を暴露したワシントン・ポストの2人のジャーナリストの実話を映画化した社会派ドラマです。

 主人公のメリル・ストリープ演じるキャサリン・グラハム、ワシントン・ポストの社主で、ジャーナリズムの歴史に一石を投じたその界隈では、超大物。ジャーナリズム史に残る「ウォーターゲート事件」の報道にも貢献しており、少し前の言葉で言えば、いわゆる女傑ってやつです。

 グラハムは、あらゆる権力にも負けずに報道の自由を勝ち取りジャーナリズムを志す人間なら尊敬して止まない人物なのです。

 

 ところがです、本作のグラハムはそのイメージからは、かけ離れています。

 自殺した夫フィリップ・グラハムからポスト社の経営を引き継いぎ、家族が築いてきた会社のことを考え行動しているが、役員会からは彼女が発行人であることに対して否定的な意見が上がっているので、作中の彼女は自信なさげな言動を繰り返します。

 編集長のベン・ブラッドリーとは信頼関係があるものの、ベンの理想主義的な振る舞いには株主公開を控えた会社のことも考え、抵抗を感じています。

 

 そのグラハム女史が、さまざまな葛藤をしながら、いかに歴史的なジャーナリズムを代表する人物になっていくのかがドラマのテーマになっています。

 グラハムが、ある大きな決断をくだすシーンはとても感動的です。仮に同じ立場であったなら、私に同じような決断をくだすことができるのでしょうか? あの人生の全てを賭けたと言って良い判断は、しびれるものがあります。

 

 あのグラハムから私は、ジョジョ4部で杜王町を守ろうとする丈助や康一くんたち、5部でジョルノやブチャラティたちが組織を裏切るときの覚悟と同じ黄金の精神を見ました。

 

 個人的な話をすると、ジャーナリズムを勉強するために渡米した自分にとっては、この話の登場人物たちへの尊敬しかありません。羨望の眼差しを持って二時間を過ごしました。

「自分もああなりたかった」と思わせる痺れる話でした。

 

 あとあまり書いてませんが、トム・ハンクスももちろん良いですよ。アメリカの新聞社の強気な編集長感を好演してます。