カモメのつぶやき

好きな映画や本のことを書きます。あとアメリカに留学してたこともあるので、留学や英語にいつても書くことがあります。

『スラムダンク』とBリーグを息子に便乗して気が付いた、スラダンとリアルプロバスケの乖離の少なさ。

スラムダンク』を息子が読み始めた。桜木花道たちのキャラクターとギャグ、そしてその、ストーリーテリングのレベルの高さにハマっている。同時にBリーグの選手たちが学校にバスケを教えにきたらしく、Bリーグにも興味を示している。我が街横浜はBリーグの市民招待デーがあり、息子と観戦したのですが、とても楽しんだようです。

 

私は『スラムダンク』の凄さを改めて1000回目くらいになるけど、実感した。

スラムダンク』の凄さは、なんと言っても実際のバスケの試合(当時ならNBA)との乖離が少ないスポーツ漫画だということです。ここではそれがとんな意味か、そしてどんなにすごいかを説明していきたいと思います。

 

1.最高峰のスポーツ漫画

最高峰のスポーツ漫画というかもはや日本最高峰の漫画ですよ、『スラムダンク』は大傑作。素晴らしいスポーツ漫画は他にもたくさんあります。

あしたのジョー』、『巨人の星』、『はじめの一歩』、『メジャー』、『ダイヤのエース』、『キャプテン翼』、『テニスの王子様』、『エンジェルボイス』『タッチ』、『がんばれ元気』、『あした天気になぁれ』、『ピンポン』、『六三四の剣』、『F』、『ドカベン』等々。まだまだ全然あります。

日本ではマイナースポーツだったスポーツに焦点を当てて競技人口を増やした漫画という観点からみると、『キャプテン翼』に次ぐ実績でしょう。さすがに劇中でレアル・マドリードに翼が行かなかったからレアル・マドリード関係者が残念がるみたいな世界的エピソードや、『キャプ翼』なしでJリーグやワールドカップ 進出はなかっただろうし、いまのBリーグは『スラムダンク』なしにはあり得なかった団体だと思います。

影響力の他には、漫画としてのクオリティもすごくて日本漫画のレベルをひとつ押し上げた作品であることは間違いなく『スラムダンク』風味のキャラクターを生み出しましたね。ストーリーテリングも素晴らしい。特に山王戦なんかは最終戦のお手本のようなエピソードで『あしたのジョー』のホセメンドーサ戦に勝るとも劣らない神回だと思います。

スラムダンク』は上記漫画に勝るとも劣らない最高のスポーツ漫画です。またそのキャッチーさや健康的な世界観は最高の少年漫画であり、その技術も含め最高の日本の漫画なんです。

 

2.シンプルにプレイのリアリティ

プロのプレイと花道たちのプレイがほぼまんまです。明らかにNBAのプレイを参考描いてあるだろうシーンも多く、当然と言えば当然なんですが、当時はこのリアリティは、高校生だった自分には衝撃的なかっこよさだった。アメリカンスポーツを『スラムダンク』を通して感じてました。

また『スラムダンク』を通してバッシュが好きになりましたね。ユニフォームだったりキャップだったりNBAグッズとかも欲しくなるんですよ。

 

3.試合のテンポのリアリティ

なんと言ってもこれが新しかったし、いまだにこれを超えるリアリティのあるスポーツ漫画はないんじゃないでしょうか。バスケとの相性の良さもあると思います。NBAないしBリーグの試合は『スラムダンク』を読んでるかの如く楽しめます。これがすごい。『スラムダンク』を読むとプロバスケの楽しみ方がわかるんですよ。

例えばです。

大傑作長編野球漫画の『メジャー』。あれもただならぬ面白さですが、実際の野球を見ると『メジャー』と全然違います。誰もそんなに喋らないし、試合テンポも遅いです。衝撃波が生じるような豪速球は誰も投げないし、誰も出場停止になるほどの怪我をおして試合にでないし、誰も死なない。たんたんと試合は進行していきます。

あるいはボクシング漫画。ボクシング漫画は格闘漫画という側面もあり、物語が進行してシリアスになればなるほど生き死に或いはそれに近しい健康状態の問題が発生します。そのリスクを背負いながら戦う物語がありますけど、実際のボクシングではそこまでドラマチックではありませんし、仮にそれに近しいことがあっても、その裏側は我々観戦者には伝えられることはない物語です。

キャプテン翼』は言うまでもないですが、ドライブシュートタイガーショットなく、ボールが焦げ臭くなったり破裂したりすることはありません。若島津くんのような空手キーパーも存在しないし、袖を捲り上げる日向くんスタイルのユニフォームの着こなしする選手すらいません。せいぜいときどきスーパープレイでオーバーヘッドキックを見て「おおー、『キャプ翼』みみたいだっ!」と驚くだけです。

私は幼少の頃『あしたのジョー』や『巨人の星』を見ていて、実際の試合の退屈さに驚いたものでした。

しかし『スラムダンク』は違いました。NBAと『スラムダンク』のプレイはそんなに変わりません。「おおー、ジョーダン流川みたいだっ!(流川がジョーダンみたいなんですけどね、ホントは)」と思えるんです。

それはなぜかと言うと前述した試合のプレイのリアリティなんです。それがよく言われる「『スラムダンク』はNBAそのまんま」の良い側面だと思います。もちろん漫画だから誇張してる部分もありますし、「そんなすげえ高校生いねえよ」というツッコミもありますが、高校生の未熟さは桜木花道がひとりが象徴的にミスをしまくり、あいつらは高校生なんだ、と我々に伝えています。

またバスケの凄さ面白さを『スラムダンク』から知ることができるのも、『スラムダンク』からプロバスケへの移行しやすい点です。

レアアップシュートを庶民シュート、ドリブルの練習をダムダムなど、キャッチーな言葉で我々を教育します。そして地味なリバウンドの凄さを漫画にしたのもすごい。主役にやらせたのがすごいです。

「リバウンドを制する者は試合を制す」

名言です。バスケ教育漫画としては、かなりの名言です。しかもそのリバウンドの大切さが、花道の才能を通して丁寧に丁寧に描かれます。その表現が極まったのが、やはり山王戦です。

20点差以上差が開き、安西先生と花道以外勝利を諦めかけたとき、花道のリバウンドがチームを救います。地味なリバウンドですが、画力で魅せます。試合進行のストーリーで魅せます。まるでスポーツ観戦をしてような気持ちにさせるんですよ、『スラムダンク』の山王戦は特に。その特徴が極まったのが伝説の後半の後半セリフなしのストーリー展開。そして最後に

「左手はそえるだけ」

これ実際にはゴールから離れたジャンプシュートじゃなくてゴール下のシュートのときの練習で使われた言葉なんですが、ジャンプシュートも同じ要領なんでしょうね。最後に才能で練習は関係なくできたダンクではなく練習に練習を重ねてた努力のジャンプシュートで、『スラムダンク』最初で最後のブザービートブザービートでの逆転の素晴らしさ、感動は実際の試合だったら、そらすごいものです。マジで鳥肌もんの涙もんです。

そのあたりも超バスケファンの井上雄彦の矜持もあるのかもしれません。

 

と言うわけでスラムダンク、読んでみたらどうでしょうか? バスケ絶対好きになりますよ。

今回はこのへんで。

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE (愛蔵版コミックス) [ 井上 雄彦 ]
価格:1,980円(税込、送料無料) (2024/2/24時点)