名作コメディ『ハングオーバー』と同じ監督か。ずいぶん作風が違うな、と思ったけど、映画評論家の町山智浩や宇多丸の解説で納得しました。
チャップリンのコメディ観
「悲劇はその人物をクローズアップした視点、喜劇はその人物を俯瞰した視点で語るとそうなる。(これはチャップリン曰くとのこと。さすが!)そういう意味ではこの監督は、一貫して社会からはみ出している人物をそれぞれの視点で描いてる」とのこと。
なるほど、と。
『タクシー・ドライバー』&『キング・オブ・コメディ』との共通点は、デニーロ!
主人公のアーサーって『タクシードライバー』のトラビスっぽいな、と思ったら、どうもスコセッシオマージュの強い作品のようだ。
そう言われると、『タクシードライバー』がリメイクされたら、『ジョーカー』のような映画になるんじゃないのかな、と、思った。『タクシードライバー』って面白い映画だけど、今見るとかったるい所あるし、そこも含めて好きなんだけど、やっぱり現代の映画の洗練された見やすさってさすがだし。
そのあたりが『タクシードライバー』と比較すると「ジョーカー』の良いところかもしれない。
また同じくスコセッシ監督デニーロ主演の『キング・オブ・コメディ』の要素もかなり組み込まれてますね。
まずコメディアン志望で貧乏なニューヨーク暮らしっていうところが同じ。「それ、あなたの妄想ですか?」みたいなところが『キング・オブ・コメディ』にはあるんですが、その妄想疑惑をより強調したのが『ジョーカー』と言えるかもしれません。
さらに、上記2作品の主演のデニーロが『ジョーカー』では、性格の悪いコメディアンを演じていますが、その役も『キング・オブ・コメディ』に出てた大物コメディアンを明らかに元ネタにしてますね。
治安悪いニューヨーク、カッコいい
宇多丸も言ってましたが、ちょっと昔の治安の悪いニューヨークな雰囲気も素敵で、ニューヨーク映画びいきな自分からすると、そこで割と好きになっちゃいます。治安の悪いニューヨークって、やっぱカッコ良いんですよ。フィクションならではで、現実にあの世界に住めって言われたら、ノーサンキューですけど。
しかしアーサー、よく踊ります。カッコ良いか悪いかよくわからないところがカッコ良いです。アーサーが初めて人を殺した後に、地下鉄かどこかの汚いトイレで踊るシーン。
あれは主演のアナキン・フェニックスが踊っていたアドリブを撮影して使ったらしいですね。
いろいろ示唆に富んでる内容だろうから、いろんなことを人と話したくなるタイプの映画であることは間違いないので、観賞後も人とお喋りで楽しめることを入れると、非常にコスパの高い作品だと思います。
あとリバー・フェニックスの弟が主演してるけど、リバーがかつて演じた『マイプライベートアイダホ』の役が、突発的に眠ちゃう病気で、今回の弟が演じた役は笑っちゃいけない時に笑っちゃう病気を持った役なんだ。オマージュ入ってるか知らないけど、思わずリバーのことを思い出しました。
リバー今生きてたら、どんな役者になっていたのかな?と想像してしまいます。
今回言いたいことはこのくらいです。