『ベルセルク』改めて読むと、黄金時代編こそ至高主義から、黄金時代編はプロローグ主義に変わった

ダークファンタジー漫画『ベルセルク』。その評価は高いし、今更さらその良さを語るのも野暮な話なんですが、改めて読んでみると、やっぱり良い漫画だな、と思わされます。

『ベルセルク』の肝となるエピソードは「黄金時代編」で、アニメも、そこだけ切りとられるケースが多いですね。

　私自身も「黄金時代編」がとても好きで、何が好きって、あの「触」のインパクト、恐怖をを求めるたに黄金時代編だけ読む、ということを何回か繰り返したこともあります。

　初めて「触」の回を読んだのはもう何十年前なんでしょうか？　13巻あたりだったな。13巻の初版が1997年3月なので、なんと25年前です。25年も私は「触」の衝撃を味わってることになります。漫画史上に残るインパクトのある大惨事だし、トラウマ級の名エピソードであることは間違いないです。

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　で、私はこの「触」を含む「黄金時代編」こそベルセルクでは至高だと思ってて、他は面白いもののそれほどではない、そんな風に思ってました。

　しかし今、アプリでベルセルクが無料なのでコツコツ毎日10話くらい読んでるんですが、「触」以後もなかなか面白いんです。というか今は「触」以降のほうがむしろ面白いんです。

「触」で、ほとんどの仲間を失った主人公ガッツ。『ベルセルク』は、そのガッツの復讐劇が物語の軸になっています。

　失ったかつての仲間への想いがとても泣かせるんですよね、「触」以降のガッツは。

　その想いが顕著に出るのが、ガッツに新しい仲間ができるときなんですよ。

　新しあり仲間を思うとき、昔のなくなった仲間を想うガッツの心に泣かされます。黄金時代編はあくまでエピローグで、やっぱり本編はガッツの復讐劇なんですよ。その過程で、いかにガッツが仲間を大切に思っていたのかが表現されていくんです。

　このシーン最高に良いんですよ。このシーン見たときに、「黄金時代編」の意味を理解した気がしました。

　以下余談ですが、原作者の三浦建太郎は物語を完結させることなく死んでしまいました。その三浦建太郎が読んでいたという『グインサーガ』という超大作小説があります。これもファンタジーですね。

『グインサーガ』は全100巻構想の小説で、結果100巻を過ぎても終わる気配はなく130巻で、作者の栗本薫は絶筆。死んでしまいます。小説100巻とサラッと書きましたが、その行為がいかにクレイジーなことかというと、そんな小説なんか歴史上どこにもないんですよ。同じ人間がひとつの物語を小説で紡ぎ続けられないんです。技術的にも体力的に。ニーズ的にもそうでしょう。

　三浦建太郎も『ベルセルク』を終わらせられるか？という話はファンの間では話題になっていましたが、実際に終わることなく死んでしまうのは、やはり残念なことです。それがファンだった『グインサーガ』の栗本薫同様に、同じ道を三浦建太郎がたどってしまうのは、運命的な何かを感じてしまいます。

『ベルセルク』の続きは、スタッフが作り続けているそうですが、それも『グインサーガ』と同じなんですよ。『グインサーガ』はスタッフではなく別の作家数人が順番で書いてるようですね。『ベルセルク』の続きを読みたいか、と聞かれるとなんとも微妙ではあります。ストーリーは追えますが、前述したようなガッツの心情を伝える物語の文学性というか作家性の再現は難しいでしょうね。残されたスタッフは頑張ってるとは思いますが、そこは交換不可能なものですからね。

余談終わり。

『ベルセルク』話せる人と話ししたい気分なので、もし読んだ人がいたら、好きなシーンとか好きなキャラとかコメントしてくれると嬉しいです。

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