映画からファッションを参考にしたことありますか?
私はあります。
その代表角の服がM-65フィールドジャケットだと思います。
M-65は、軍用として生まれ、いつしか自由の象徴となったアウターです。核戦争でも生き延びることができる(ホントかな?)とかも言われたり、究極の戦闘服として長年アメリカ軍でも採用され続けた傑作アウターです。今も愛用してる人が多い名作アウターです。
M-65以上に映画で使われた服って、他にジーパンくらいじゃないですかね。とにかくやたら映画に出てきます。
ただこのアウターは、割とマッチョ度の高い服なので、今風に着こなすのが、意外と難しいジャケットです。というわけで、名作映画や名優から、その着こなしを紹介していきます。
M-65と言ったらタクシードライバー!
いきなり真似しづらいですか?
M-65フィールドジャケットといえば、トラビスです。スコセッシ監督ロバート・デ・ニーロ主演の黄金タッグの『タクシードライバー』の主役トラビスが着用してきたのが、このM-65なんです。
何もモヒカンにタレ目グラサンしろって言ってるわけじゃないですよ。
注目は、このサイズ感。かっこいいですよね。この写真見ると、トラビス、アウターの下は裸なんでしょうか? それもレベル高すぎます。ちゃんと服着ましょう。
映画の設定でいうと、デニーロ演じるトラビスは、ベトナム戦争帰りなんです。そのとき所属していた舞台「キングコングカンパニー」で着ていた物を着用していた、という設定です。
以下、私的な想像ですが。トラビス、自分に箔をつけようとして、嘘ついてる可能性ありますよね。ベトナム帰りは嘘、みたいな。トラビスは虚言癖というかそういうどこからが本当かわからないところあります。同監督同主演で『キング・オブ・コメディ』という映画がありますが、こっちの主役は虚言癖というか妄想全開キャラなんですよ。で『タクシー・ドライバー』のドラバスもそいつにかぶるわけです。
話が脱線しましたが、虚言癖があろうともトラビスとM-65はかっこいいので紹介でした。
タクシー・ドライバーバージョンのレプリカです。これは欲しい!
個人的にはベスト!オシャレ番長のセルピコ
続いてはアル・パチーノのセルピコです。かっこいいですね。『セルピコ』は、アル・パチーノ主演で、汚職がはびこるニューヨーク市で参入調査をするひとりの刑事の物語です。実話をもとにしており、アル・パチーノは役作りで実際にこのセルピコ刑事と住んだこともあり、ファッションなんかは、当時のヒッピーファッションをリアリティ高く取り入れています。
こちらの写真も超絶カッコいい。
セルピコは、この他にもいろいろなファッションをしてて、オシャレ服映画としても一見の価値があります。
ベトナム帰りのランボーももちろん着てます
このM-65は、1965年に製造開始しましたよ、という意味で、1965年といえばベトナム戦争の最中です。
『ランボー』は説明不要のアクション映画で、シルベスター・スタローンの当たり役の一人です。ベトナム帰りのグリーンベレー舞台出身のランボーがある田舎町を訪れるシーンから始まります。
ベトナム帰りのランボーは、この戦闘服を着て帰国するわけです。胸に貼られているアメリカ国旗のワッペンが、悲しいです。ランボーはアメリカという国から報われてないベトナム戦争の英雄なんです。上司だったトラウトマン大佐から邪険に扱われて、やっとの思いで帰国したんです。そんなランボーがこのM-65を着ることに大きな意味が隠されてると私は思います。
ベトナム反戦運動をしていた人たちは、ベトナム戦争で使用された古着をきて、そこにピースマークをペイントしたり、平和の象徴として着る人が多かったんです。ランボーは全然反戦運動の人ではないですが、当時の空気はこのM-65を着ることがひとつの流行だったのかもしれませんね。
ちなみに、ランボーのその後を描くランボーラストブラッドでもM-65を着用してますね。
ロッキーだって着る
その後を描くといえば、スタローンは引退後のロッキーでも黒いM-65を着させています。スタローンは、キャラクター造形のうまい役者です。時代遅れ感を出す良いアイテムとなっていますが、ランボーとの差別化か或はロッキーの好きないろ「黒」のキャラ作りか黒いジャケットを使用していますね。
当時のインテリも着る
『クレーマークレーマー』のダスティン・ホフマンも着てます。このダスティン・ホフマンはインテリで広告関係の仕事してます。そんな人も着るくらい、M-65はアメリカの社会に浸透してたということです。トラビスやランボー、セルピコたちとは違い、どこか品のある着こなしに注目したいですね。コーデュロイと合わせる感じとか、ファッションエディターの山下英介氏が、そんな着こなしをしていました。
サイボーグも着る
ダダン、ダンダ、ダン♪
これは軍用ではないですが、民間品のものをカスタムしたやつをターミネーターが着ています。ターミネーターっていうとダブルのライダースの印象が強いですが、初めの作品ではこの出立ちです。これは真似できない境地かもしれませんが、参考までに。
90年代的な着こなし
『トゥルー・ロマンス』のクリスチャン・スレイター演じるクラランスですね。デニーロやランボーとは違い、少し大きめルーズに着ています。トラビスやランボーたちとは違い90年代前期な若い雰囲気あります。『トゥルーロマンス』は、大好きな作品で何度も繰り返し見てますが、クリスチャン・スレイターや他の登場人物のファッションも見てて楽しいです。
ちなみに脚本を書いてるタランティーノは、かつてビデオ屋の店員で、仕事の合間に脚本を書いたタランティーノは、トゥルーロマンス のクラランスにその自分を投影していると言われています。そのタランティーノもM-65を着用してます。
健さんも愛用!
高倉健も着ています。プライベートでも着ているとか。ちなみに『ブラックレイン』では、同様のミリタリーウェアのモッズコートで有名なM-51フィールドパーカを着用しています。
松田優作だって着る!
ブラックレインといえば、松田優作。松田優作も着てますね、M-65。この映画みたことないけど!さすが松田優作、よく似合ってますね。タレ目グラサンとM-65は、デニーロといい、鉄板コーデなのかもしれませんが、一般人が真似すると少々危険な匂いがしますね。
ジョニー・デップ最新作『MINAMATA』にも
映画界のファッション・リーダージョニー・デップも着てます。まだ前パブ用の写真やポスターでしか見てませんが。モデルとなった写真家のユージン・スミスはM-65ではなく似たやつを着てますね。
番外編 ウッディ・アレンはM-51
ウッディ・アレンは『アニィホール』で、M-65の前モデルのM-51を着ています。「どこか違うの?」と思う方もいるかもしれませんが、マニアからすると、全然違います(大きくはエリ周り)。ウッディ・アレン、これ好きなんでしょうね。同じものを歳を取っても着ています。
他にもいろいろな映画で着用されているM-65。皆さんも、おすすめの映画ファッションあれば、おしえてください!
M-65はいろいろ販売されています。ビンテージも良いし、レプリカもめっちゃ良いのも多いです。機能的な服であるし、一着持っていても損じゃないと思います。旅行とかにも良いですよ。ポケットたくさんついてるし、超便利。
今回言いたいことは、これくらいです。