私の子供は、勉強ができません。
スポーツもできません。
ご飯はこぼすし、好き嫌いが多いです。
でも健康なら、それ以上の喜びはありませんね。その当たり前のことを『MINAMATA-ミナマタ-』は教えてくれます。
公害の病気の人たちを見て、そんな風に思うのは不謹慎かもしれませんが、親の率直な気持ちとしては、そう思わざる得ませんし、そう思わない親もいないと思います。
タフな映画に挑戦するデップ
ジョニー・デップ。こういうタフでジャーナリスティックな映画もやるのか、と。制作もジョニー・デップです。もともとそういう人なのかもしれません。
ジョニー・デップが演じるカメラマンユージーン・スミスを知ったのはデップが20代の頃だった言います。
良かったです。
日本人と絡むと外タレみたいになるのは仕方ないですかね。ライフ誌の編集長との会話が好きですね。長年の付き合いを感じさせる会話がバディ感あってとても良いです。
ユージーン・スミスの代表作の「水俣・トモコとお母さん」は、海外の人たちはその写真からピエタ(死んで十字架から降ろされたキリストを抱く母マリアの絵や彫刻)を連想させることで高く評価されたと言います。
ユージーンは諦めない人
ジョニー・デップがその編集長に国際電話で弱音を吐くシーンがありますが、ジョニー・デップ演じるユージーン・スミスの妻である実在のアイリーンは「実際のユージーンは決してあきらめない人で、むしろ逆のタイプ」とインタビューで語っていました。
また公式ウェブサイトでは次のようにコメントしています。
私の知るユージンは、決して諦めず、何があっても真実と向き合う人でした。何より大切にしていたことは、被写体と写真を受け止める側、両者への責任でした。その大切さを私は今改めて深く感じています。
映画を観た後、それぞれが感じたことを胸に自分の花を咲かせてほしいです。
國村隼演じるチッソ社長は半沢直樹みたいな奴だった!
日本人の俳優も良かったです。特に印象的なのは國村隼です。
水俣病の原因となる汚染を出したチッソという会社の社長役です。ポジション的に悪役ですね。
でもね、単純な悪役かといえば、そうでもないような感じもあります。
なんかあの國村隼特有の間のある演技に独特の深みを感じました。何考えてるかわからない感じ。主人公のカメラマンを賄賂で手を引くように交渉したりしてそのあたりはしっかり悪役してます。
一方で被害者家族との会合では、被害者家族たちの言葉も聞き、なんなら言い訳もしないんです。そこまで悪い奴に見えないんですよね。
Wikipediaで見てみると、この社長は江頭豊という人は、水俣病問題に対応するために社長になった人ですね。元々は銀行員で専務取締役としてチッソ立て直しのために派遣されています。
半沢直樹みたいな奴なんです。そして有能だったのでしょう、その約2年後に社長になってます。
そういった背景は知らずまとも、何となく國村隼の演技から単純な悪役ではないよ、と感じられたわけです。
『MINAMATA-ミナマタ-』は、日本が舞台の海外の映画かつクオリティも高いです。そういう映画はなかなかないので、日本の映画ファンだけでなく、水俣問題を風化させない(水俣病は克服したと某総理は発言してますが…)ためにも、日本人なら見ておきたい映画かと思いました。
また本作の映画『MINAMATA―ミナマター』公式サイトは気合入った作りになってますね。出演者のインタビューもあるので、気になる方はどうぞ。
今回言いたいことはこのくらいです。