もう散々語り尽くされた感のある『ルパン三世 カリオストロの城』。
40年ぶりに劇場で見ました。テレビやビデオなど、さまざまな媒体では何度も何度も見たこの映画。久しぶりに映画館で見たら、やっぱりとても面白いんですが、それ以上に気付かされたことがあります。
男の美学がてんこ盛りなんです。もしかしたら、自分の人生の価値観にとても大きな影響を与えた映画かもしれません。今回は自分自身の価値観を振り返りつつ『カリ城』の好きなところをピックアップしていこうと思います。
貧乏がかっこいい
逆に言うと権力者金持ちは悪者
この価値観、偏見がすごい。そしてある意味悲劇ですよ。金持ちになりたいという思考が少ないんですから。私が金持ちになる可能性はゼロです。だってなりたいと思わないんですから。
劇中のルパンと相棒の次元大介、作中での食事シーンが多いんですよね。でも食べてるものといえば、赤いきつね(風ね)とか野宿中の何か次元が焼いてるものとか、庶民が行くレストランのパスタとか。そんなものばかりです。
一方カリオストロ伯爵は、ルパンたちが赤いきつねを食べてるときに、豪勢な食事を食べてるわけです。印象的なのが、ゆで卵を専用の器において、先っちょを切り捨て黄身だけ食べる贅沢な食べ方。食べられる部分でも美味くないので捨てる。悪い権力者の美食の表現がうますぎます。
あの食べ方を見た我々は「あんな食べ方をするなんて、こいつはロクな奴じゃない」と思うわけです。しかもカリオストロ伯爵は無表情で食べるんですよ。さしてうまくとなんともないって感じで。それよか仕事の話に夢中です。私はさらに思うんです。「食事中に食事を楽しめないつまらない奴」だと。
その頃ルパンは、赤いきつねの油揚げをうまそうにハフハフしながら食べています。そりゃ、ルパンの方が好きになりますよね。
しかし食べ終わるとルパンは赤いきつねの空容器を、その辺にポイ捨てします。次元もタバコをポイ捨てします。ルパン一味はその辺は、やはり悪党です。大人になるとマナーの悪さが気になります。カリオストロ伯爵は食ったらナプキンで口をちゃんと拭いてますし、マナー対決はカリオストロ伯爵の完勝でしょうね。
ルパンと次元のバディ感
のんびりドライブシーン楽しそう
二人で長距離ドライブしながらカリオストロ公国に行くわけです。オープニング曲のときは、ずっと二人のドライブシーンが描かれてます。
監督の宮崎駿は今の自動車文化は嫌いだけど自動車のそのものは好きらしい、という非常にこじらせた作家さんです。
例のフィアットで二人はずっとドライブするわけです。この場合のフィアットは庶民の車として描かれてます。荷物は屋根にくくりつけ、たくさんの吸い殻、足をダッシュボードに乗せる、スペアタイヤはツルツル(次元はボウズと表現)など、とても綺麗に使ってる風には見えません。
『カリ城』のルパンは、現役ピークを過ぎて、引退間近の設定で、散々贅沢もしたけど、今はお金にあまり興味がなくて貧乏を楽しんでるルパンなんです。なので、もし今『カリ城』が作られるなら、たぶんルパンたちが乗る車は、おしゃれな海外の小型であるフィアットじゃなくて、軽トラや軽バンみたいな実用車かもしれませんね。
「面白くなってきやがった」
で大変なときを乗り切る
作中、次元大介は「面白くなってきやがった!」と2回言います。自体が悪化すればするだけ次元は楽しそうです。
最後のクラリス救出パートで、戦闘が本格化すると嬉しそうに「おっぱじめようぜ!」と言い放ちます。
この戦闘のベテラン感。
ルパンの相棒をしてるだけあって、次元も相当イカれています。
しかし、この次元の「面白くなってきやがった!」は、相当に使えるライフハックなんです。
例えば仕事で、実現困難なミッションや損な役割を与えられたとします。
そのとき、「なんだよ、このクソな仕事は!」と同僚に愚痴を言うのではなく
「面白くなってきやがった!」
と言ってみると周りは笑顔になるし、自分自身の辛い気持ちも、実際緩和されます。
このライフハック、一度お試しください。
大怪我して爆食い
ルパンが作中で大怪我をして三日三晩寝込んでしまうという場面があります。目覚めたとき、ルパンは「血が足りねえ! 食いもんだ! ジャンジャン持ってこい!」と言って、顔が真っ青になるまでチーズやらハムやら、大量の食べ物を顔が真っ青になるまで摂取します。
このシーンを見て「なるほど元気のない時はたくさん食べた方が良いのか」と教わり、風邪をひいて40°くらいの熱が出たときとかには、自分の食欲のなさは無視して可能な限りたくさん食べるようになりました。できればルパンの真似して巨大なハムやソーセージ、チーズ、ワインとかが望ましいですね。
『カリ城』は他にも見所や論じるべきところがたくさんある奥深い映画なので、また別の機会に書くかもしれません。
いろいろくだらないことを書きましたが、今回言いたいことはそのくらいです。