「あんなに人を怒らせることができるのはジョンしかいないわ」
「ダイハード」の中のセリフです。
ブルースウィルス演じる主役なジョンマクレーン。テロリストの暴挙に対応するジョンが、テロリストたちをやっつけていきます。
そのテロリストのひとりが人質の前で怒りをあらわにするシーンでのジョン嫁のセリフです。夫との不仲、夫との付き合いの長さ、夫への理解、そして今まさに夫に守られているのだ、という信頼感。いろいろな思いがこのセリフに詰まっています。
作中で最も好きなセリフです。
「ダイハード」は80年代後半の映画で、当時めちゃくちゃ新しいアクション映画でした。それまでは、スタローンやシュワちゃん、古くはチャックノリスやチャールズブロンソンなど、アメリカ型のアクションヒーローたちの特徴は
- 寡黙(モゴモゴ口調)
- 肉体美
- 無敵感
- ケガしても痛くなさそう
- 武器すごい
こんな感じです。インフレしまくる強さが特徴的だとも言えます。
しかしジョンマクレーンはこうです。やたら人間的なんです。
- やたらボヤくし、敵をむかつかせる話術
- ちょっとポッチャリ感あり
- ケガ痛そう(無数ガラスの破片を裸足で踏む)
- 武器が少なく知恵を使う
前述のヒーロー像のアンチテーゼとしてのヒーローがジョンマクレーンでした。
このジョンマクレーン型のヒーローの系譜は今だと『ガーディアンズオブギャラクシー』のスターロードなんかがそうかもしれません。
ジョンマクレーンはブルースウィルスの演技をもって間違いなく映画史に残るキャラクターに昇華されてると思います。
『ダイハード』の面白さにやられて、劇場に『ダイハード2』を見にいき、『ダイハード2』下敷きを使う中学生でした。2は1ほどおもしろくないんですが、それでもジョンマクレーンのかっこよさは健在です。
ダイハードは監督の名前が、ジョンマクティアナンでありジョンマクレーンと名前が似てるのは偶然か意識してなのか想像したり、「ダイハード」の意味は殺しても死なないタフな奴という決してテストには出ない英語を覚えたり、ブルースウィルスが好きになりNHKで放送してたドラマ『こちらブルームーン探偵社』を見たり。
ブルースウィルスの吹き替えの声も良かったです。荻島眞一のちょっと人を小馬鹿にしたような声、安定の野沢那智、野太い声を意識しすぎておかしなことになってた俳優村野武範の「考えろ、考えろ」。
改めてブルースウィルスのことを考えると結構ハマってた時期があるんだな、と。
私が初めて『ダイハード』を見たのは、家の小さな白黒テレビ(当時でも珍しかった)です。中学生くらいだったと思います。もう寝ようかな、と思いつつテレビをつけたら、あまりの面白さに目が覚めたことを今でも思い出します。
この時の経験から「映画の良し悪しはハードに左右されない」というのが私見になりました。
『ダイハード』の後ブルースウィルスは、名作に出演しまくります。
12モンキーズ、アルマゲドン、パルプフィクション、フィフス・エレメント、シックスセンス、ラストボーイスカウト(は微妙という評価がありますが私は結構好きです。なぜかアメリカのテレビでよく放送してました)等々。
もしブルースウィルスがいなかったら、これらの作品を見ることができなかった。と思うとブルースウィルスは改めてすごい役者だな、と思います。
ブルースウィルス。お疲れ様でした。
今回言いたいことはそのくらいです。