宮崎駿はかなりクセの強い作家だと思います。今でこそ、大作家で日本国民がこぞってジブリ映画を見てますが、ナウシカやラピュタは公開当時はそれほど注目もされてませんでしたね。
ナウシカのお話をしようかと。
ジブリ、ジブリ言いますが、正確にはナウシカは、トップクラフト制作です。ナウシカが製作されたときは、ジブリは存在せず、その前身であるトップクラフトという会社でした。
権利はジブリにあるので、ジブリで間違いではないのですが、まあ豆知識として。
ナウシカの凶暴性
ナウシカ。宮崎駿ヒロインのルックスや声などから、おてんばだけど心優しい天使のようなお姫様。そんなイメージがありますが、改めて見ると全然そんなんじゃいんです。
風の谷に敵国から侵入者が来ると、その侵入者を怒りに駆られて立て続けに殺してしまいます。
クワトロが
「あ〜あ。殺したまいやがった。おっそろしい娘だぜ」的なことを、言いますが本当にそうです。ナウシカのメンター的存在の大剣豪ユパ様がとめなければ、虐殺しまくってたと思います。
大人っぽいクシャナ殿下と
それを制す16歳のナウシア
大国トルメキアの軍司令官であるクシャナに対しても臆さず、腐海でのルールを従わせるナウシカ。大物ですよ。
このとき、ナウシカは16歳。
クシャナは25歳。
年齢よりも大人びてしまうのが、昔のアニメの常としても、彼女らの精神年齢なんか、今でいうところの40〜50歳くらいはいってますよ。
特にクシャナ。
「我らが目的は殺戮ではない。話がしたい。剣を収められよ」
「私も待ちたいのだ。本当に腐海の深部から生きて戻れるものならな。あの娘と一度ゆっくり話をしたかった」
このセリフの切れ味。
25歳の女性が「あの娘」ですよ。25歳といえば、新卒3年目くらいです。こんな堂々とした言葉遣いをする3年目がいたら、ついていきますよ、私は。
そしてナウシカです。16歳。今の日本なら高二です。
なのに人も殺してるし、クシャナ殿下にも臆さず対等以上にコミュニケーションをとれる大物っぷり。
風の谷の姫として、英才教育を受けたのでしょう。
超優秀なクワトロ、大好き
私がこの作品で一番好きなのはクワトロです。クシャナ殿下の参謀ですね。ちょっととボケたキャラクターもいい味を出してます。
ナウシカ、クシャナ、ユパなど、どこか浮世離れしてるキャラクターの中、平民出身というだけあって、目線が我々視聴者に近いです。タヌキと上司のクシャナに言われ姑息な感じもありつつ、どこか憎めないのは、視聴者目線が理由かもしれません。
「貧乏軍人の俺ですら久しく錆び付いていた野心が疼いてくらぁ」
「やっと巡ってきた幸運か?それとも破滅の罠か」
というセリフから野心もある風なんですが、行方不明になった上司クシャが生きてると知ると、
「生きてたよ。短けぇ夢だったな」とあっさり疼き始めた野心を捨てちゃいます。このあたりの割り切りが、実社会で生きる我々にはリアリティを感じるんです。
ラブ・クワトロです。
ジブリトップクラスの地味なアスベル
顔はイケメンです。宮崎駿アニメ伝統の主人公顔のアスベル。コナンやパズーと同じ系譜の顔をしてます。
ナウシカとの出会いや腐海で二人で遭難もします。普通ならナウシカの恋人的存在になってもおかしくない顔をしてるんです。
でもあんまり存在感ないんですよね。あんまり活躍しない。ナウシカとは友達どまり。コナンやパズーのように抜群の運動神経の持ち主というわけでもない。
ナウシカは女の子が主人公。公開当時の男の子はアスベルに期待したと思うんです。
「こいつが、ナウシカと同様の活躍をしてくれる」と。
ナウシカは男の子が感情移入できるキャラはアスベルだけなんです。男の子にナウシカに感情移入しろ、と言われてもそれはハードルが高すぎますし、ユパ様だって同じことです。今でこそ好きなクワトロだって、子供の頃に自分を重ねることは不可能です。
というわけで、公開当時の男たちからあま。指示がなかったのは、アスベルの不発にあったと思います。
そしてその反省が、ラピュタのパズーに現れたのかもしれません。
今日言いたいことはそのくらいです。